"この「フジ子・ヘミング現象」というのは、日本の音楽界における専門家グループ、つまり「国内演奏家+音楽教育者+音大生」からも、そして愛好家グループ、つまり「新旧の海外演奏家のファン+文学的な印象批評の読者」の双方からほぼ全否定されているようだからです。
実は日本のクラシック音楽界では、昔からこの「ドメスティックな専門家」と「音楽ファン」は仲が悪いのです。ベルリン・フィルやメットオペラの来日公演に一枚3万円とか6万円といったカネをはたく音楽ファンの多くは、国内の演奏家には見向きもしません。ただ、日本人が海外のコンクールで優勝したり、海外のオーケストラで常任指揮者になったりすると、突然「外タレと同レベル」に見なして応援を始めるわけで、そんな音楽ファンの存在は、国内の専門家には遠い存在でしかありませんでした。
では、その犬猿の仲である両者がどうして「フジ子批判」ではタッグが組めているのでしょうか? 一つには、ヘミング女史の演奏スタイルが、現代の基準からは外れているということがあります。
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